談合ウォッチャー

官製談合事件をまとめたいブログ

宮城県石巻市 官製談合 2024年4月

www.khb-tv.co.jp

どういう事件か

宮城県石巻市で、市職員が下水道工事の金入り設計書を業者に漏洩した。

 

入札について

石巻市は過去の入札結果をなんと平成17年までさかのぼれる上に、入札者の入札金額まで閲覧できる。ほかの自治体も見習ってほしい。

www.city.ishinomaki.lg.jp

直近の令和5年度の、遠藤興業の落札した入札結果を見てみる。

令和5年度の落札は4件あり、うち2件は総合評価方式で遠藤興業の評価点は断トツトップである。

 

北北上運河右岸第1-4号幹線築造工事 総合評価

 

 

釜大街道線ほか1路線環境施設整備工事 一般競争

 

 

七窪蛇田線舗装工事 一般競争

 

 

東中瀬橋橋梁下部工新設(その2)工事 総合評価

この年だけ見ると、最低制限価格に近接してはいるがこれだけでは何とも言えないように思える。

遠藤興業の特徴はは落札件数が異様に多く、令和3年度から5年度まで順に一般競争入札だけで2本-5本-2本(同じ入札によく参加している石巻建設は0-2-0)

これだけでは同社の入札参加が多いからとか、規模が大きい会社のため積算精度が高いとか、そういう風にも見て取ることもできる。

 

しかし特筆すべきは、遠藤興業は入札に参加率が悪い割に落札件数が多い。

令和5年度の一般競争入札で土木Aは16件程度あるが、遠藤興業は落札した2件にしか参加していない。

土木Aを同年2件落札しているスリーテック(株)は5件、(株)ヤマゼン雁部組は14件参加している。

石巻市は令和5年度から手持ち工事の上限が5件までと定められたようなので、すべての入札に参加というわけにはいかないのかもしれないが、遠藤興業は参加したらほぼ必ず取っていく会社ということだ。他社にとっては脅威である。

なお今回立件されたのは下水道工事。

広島県尾道市 入札情報漏洩 2024/5/15

news.yahoo.co.jp

どういう事件?

2023年5月下旬の入札で、入札前に市の土木課職員が業者に金入り設計書を渡した。

 

 

入札について

漏洩があったとされる工事

尾道市の平均落札率は91.4%とそれほど高くない。

最低制限価格は公契連モデルを採用しており、ランダム係数もおそらくない。

積算精度が高ければ落札できるようになっている。

 

他の令和5年度の入札結果を見ていると、最低制限価格と同額の落札はそこまで珍しくない。

多くの工事で、同額~+3000円での落札が多いように思う。

 

当該業者は同年8月にも最低制限価格と同額での落札がある。

最低制限価格と同額

尾道市の入札結果全体を眺めていると、一般競争入札の割には参加業者数が少ない場合が多い。

 

普通に見ると単価や歩掛が明示されていない箇所があり、積算難度が高いのかと思うが、

他の工事でも最低制限価格に近接した落札があることを踏まえると、漏洩した価格の指名業者間での調整が行われているようにも思える。

参加資格を細切れにしているせいで参加業者が少なく、そのため受注調整や受注者確保が行われているのだろうか?

あくまで推測です。

宮崎県串間市 官製談合

www.yomiuri.co.jp

どういう事件か?

設計業務の指名競争入札において、業者は副市長に対し指名業者案を作成させた。

副市長は業者の希望に便宜を図り、

副市長と業者4人が逮捕された。

逮捕業者の内訳は↓。このうちランドブレインの1人はすでに不起訴となっている。

xtech.nikkei.com

 

入札について

 

串間市は入札結果のwebでの公表も、電子入札も実施していないためこれ以上の情報は不明。
またニュースでは官製談合の経緯、見返りの有無、官製談合が露呈した理由など細かい経緯は明らかにされていない。
指名業者内での裏切り、もしくは市役所職員による証拠確保あったのかと思われる。
 

福島県石川町 官製談合 2024/4/30

www.minpo.jp

どういう事件か?

現職の町長から土木業者に対して、予定価格(最低制限価格のこと?)を漏洩した疑い

 

 

入札について

漏洩があったとされる工事は、

①令和4年度都4第3-4号 町道 116 号線 道路改良工事(9/26開札)

https://www.town.ishikawa.fukushima.jp/admin/d3b98676b1469d91995d511611b29b66.pdf

 

 

当該業者はこの年度、ほかに3つ工事を落札している。

②令和4年度都 4 第 3-1 号 町道 220 号線 道路改良工事(7/28開札)

③令和4年度都 4 第 2-1 号稲荷橋橋梁修繕工事(10/31開札)

④令和 4 年度教 4 第 9 号石川町認定こども園用地造成工事(2/27開札)

https://www.town.ishikawa.fukushima.jp/admin/defc75845aca34c0fe0bca05dc69ec4e.pdf

https://www.town.ishikawa.fukushima.jp/admin/16101409e5bdc3de5aef2aeeb48caf3d.pdf

https://www.town.ishikawa.fukushima.jp/admin/51d5bc6c48336a5027e2cc5e109f3883.pdf

 

 

最低制限価格は公契連モデルだと(経験的には)90%前後になると思うし、そもそも75~92%の間に丸められるようになっている。

 

しかし落札率は①98.6%、②98.9%、③98.8%、④98.8%とおおむね98%後半であり、石川町平均の96.2%よりも高い。

(町平均自体も高いと思う)

 

当該工事と同日の9/26には、他に2件道路工事の開札があり、

 

・都 4 第 3-2 号町道 3042 号線 道路改良工事(落札率99.6%)

https://www.town.ishikawa.fukushima.jp/admin/5e73b81eea51895d317a405956abe252.pdf

 

・都 4 第 3-3 号町道 222 号線 道路改良工事(落札率99.5%)

https://www.town.ishikawa.fukushima.jp/admin/7860c8e367ed887d9b7f726db222c208.pdf

 

この日は3件の道路工事を指名された3社がうまく分け合った形になっている。

 

---2024/5/16 追記---

当該業者が福島県から入札参加制限となった。期間は21か月(1年9か月)

news.yahoo.co.jp

経営事項審査より、当該業者の年間完成工事高は20億円程度。

うち何割を公共工事で占めているかは不明(福島県のHPの見方がわからない)だが、HPを見る限りは多くを公共工事に依存しているのだと思う。

もしかしたら社長は関与しておらず、被害者なのかもしれない。だが談合等で指名停止を食らった業者がどうなっていくかの好例だと思うので、今後も見ていきたい。